認知症予防には良い油選びが重要です。
認知症予防に食事が大事なのは言うまでもありません。そして毎日のように口にするのが油です。それだけに体に影響が大きい食用油です。オリーブオイルや様々な植物油、特に最近人気のエゴマ油、アマニ油を上手に使うことで健康に良い、脳にも良い食生活がおくれます。少しでも油の知識を仕入れておくと料理もまた新鮮で楽しくなるかもです。
体にわるい油がある?
健康に悪い、ひいては脳に悪い、ぼけやすい、そんな油の成分があります。それはサラダ油に含まれるヒドロキシノネナールという成分です。聞きなれない名前ですがこのヒドロキシノネナールはリノール酸が200度位に加熱されると急激に増え、体内でリン脂質を酸化して脳の神経細胞を酸化つまり錆びさせ、だめにしてしまう恐ろしいやつです。脳科学専門医の山嶋哲盛博士によればアルツハイマー病の主な原因物質は「ヒドロキシノネナール」であるとまで言われています。
※オレイン酸とリノール酸の違い
植物系の食用油に含まれているのがリノール酸です。リノール酸にもオレイン酸のようにLDLコレステロール値を下げる働きがあるのですが一部では疑問視されています。また、善玉コレステロールのHDLコレステロール値も下げてしまいます。
オレイン酸は酸化しにくくリノール酸は酸化しやすい
リノール酸は必須脂肪酸で体内で作ることはできないので不足すると健康に良くないのですが、特に意識しなくてもごはんなどから一日の必要量1~2gは採れています。むしろとりすぎの方がはるかに怖く、リノール酸は酸化しやすく、ガンを促進するといわれています。欧米型の食事では大腸がんなどリノール酸によって促進されることがわかっています。
具体的なサラダ油の選び方
高温処理をしないサラダ油を選ぶ
どういうことかというと大量生産の油は石油から作られた溶剤を使用して植物油を絞り出します。そして有害物質や匂いを取り除くために高温で加熱処理を複数回します。そうすることで透明度の高い食用油ができあがります。加熱処理の高温でヒドロキシノネナールなど毒素が発生します。では加熱処理をしなければよいのかというと、そう単純ではなく、石油系の溶剤を高温で処理しないと今度は発がん物質として残ってしまうのです。大量生産するには今のところコストと見合わせるとそういう方法にならざるを得ないのでしょう。
認知症予防に良いとされる油の理由
体も脳も酸化=老化です。抗酸化作用が強い成分は若返りの成分です(言いきって良いのか? 例外はおいとくとして)
αリノレン酸が豊富に含まれていることが一つの理由です。αリノレン酸は体内でDHA・EPAに変わり、脳の血液の流れを良くします。ただ、通常の食用植物油にはわずかしか含まれていません。人に必要なαリノレン酸は一日あたり2gほどと言われています。しかもαリノレン酸は認知症予防に良いだけではなく「うつ」を予防すると言われています。よいことだらけのように見えますがやはり油ですからとりすぎはよくありません。
認知症予防にに良いとされる油の種類
健康に良いとされる食用油(オイル)は数ありますが特に認知症予防に良いとされる油の代表的なものは下記の種類です。
オリーブオイル
オリーブオイルの70%を占める主成分のオレイン酸は抗酸化作用があり、健康に良いとされています。体内でオレイン酸は活性酸素と結びつき、過酸化脂質になるのを防ぎます。結果として過酸化脂質がDNAに傷をつけ発がんや動脈硬化になりやすいのを防ぐなど生活習慣病の予防に役立つと言われています。また、最近の研究ではオレイン酸に含まれる成分がアルツハイマー病の原因となる脳に蓄積するβアミロイドを溜まりにくくする効果も発表されています。
オレイン酸の成分、オレオカンタールを含むエクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイルを摂取すれば、認知症リスクを軽減する可能性がある
オレイン酸はオリーブオイルの他、キャノラー油やナッツ類(特にアーモンド)にも含まれています。
※ルイジアナ大学のAmal Kaddoumiの発表より
オリーブオイルのメリット
認知症予防というだけでなくLDLコレステロール(悪玉コレステロール)だけを下げてくれたり、健康自体によいです。日常的に料理に普通に使用できるので、あまり意識しなくても毎日の摂取が可能です。
オリーブオイルの弱点(デメリット)
カロリーが高い。オレイン酸自体は脂肪になりにくいのですが、カロリーは他の食用油とあまり変わりません。ダイエット中には不向きかも。また、炒め物、揚げ物には向いていません。サラダなどに使用する生食が向いています。
オリーブオイルの種類
バージンオリーブオイル
オリーブの実をそのまま絞ったもの
エクストラヴァージンオイル
エクストラヴァージンオイルは冷圧法による一番絞りで、加熱されていません。酸度が0.8%以下で完全な食味と香りをもっているもの(このあたりの基準はイタリアでも地方によって結構バラバラみたいです。酸度に注目すれば良いと思います)
ピュアオリーブオイル
バージンオリーブオイルと精製オリーブオイルをブレンドしたもので酸度は1%以下
精製オリーブオイル
バージンオリーブオイルを搾った後、残りから溶剤で抽出したもの。
オリーブオイルの選び方
オリーブオイルはできるだけエキストラバージンオイルを選びましょう。酸度は0.8%以下が理想です。そしてオイルの敵は酸化です。日にあたってもだめ、長く使ってもだめです(空気に触れる時間がながくなる)。つまり小瓶ですぐに使い切れるのが理想です。
※注意:2016年あたりからエクストラヴァージンオイルの表記にもかかわらず粗悪な海外製(主にイタリア産)オイルが国内で出回っているようです。異様に安いオリーブオイルはたとえエクストラヴァージンオイルと書かれていても注意してください。
エゴマ油の特徴
通常の植物油にはわずかしか含まれていないαリノレン酸が豊富に含まれています。体内でDHA・EPAに変わり、脳内の血流をよくしてくれます。テレビや雑誌で度々特集が組まれるほど話題になりました。芸能人が毎日飲んで肌がきれいになったとか。健康に良い油の代表です。
エゴマ油のメリット
DHA・EPAの一日の必要摂取量(DHA・EPAを含む不飽和脂肪酸、オメガ3系脂肪酸の1日の目標摂取量は約2g)が大さじ一杯でとれるので、そのまま飲むかサラダにかけたりして、簡単に摂取することができます。
エゴマ油のデメリット
αリノレン酸は熱に弱いため炒め物、揚げ物に使うのには向いていません。また、酸化しやすいので日光や空気に触れる時間に注意が必要です。これはエゴマ油にかぎらずαリノレン酸などオメガ3系の油に共通の弱点です。
匂いというか独特の癖があります。人それぞれで好き嫌いが出ると思います。
エゴマ油の副作用
体に良いからと行って多量に摂取すると健康に被害を及ぼすことがあります。一日2gの適量を守りましょう。
アマニ油
亜麻の種子から採れる油で、エゴマ油と同じようにαリノレン酸を豊富に含んでいます。αリノレン酸が体内でDHA・EPAに変わり、脳内の血流をよくしてくれます。また、αリノレン酸は血糖値の上昇を緩やかにしてくれるため海外では早くからアマニ油が糖尿病対策としても使われています。
アマニ油のメリット
サラダオイルなどに使用しやすいためオメガ3脂肪酸系の一日の必要摂取量約2gが簡単にとれます。アマニ油のドレッシングレシピなども豊富にあります。
食物繊維を含むため腸内環境を良くしてくれます。
抗酸化力のあるリグナン(ポリフェノールの一種)をふくむため血液をサラサラにしてくれる効果が期待できます。
アマニ油の弱点
やはり酸化に弱いという弱点があります。熱に弱く揚げ物、炒め物にはむきません。速く使い切るようにしましょう。
過剰摂取は体に様々な悪影響をあたえます。使用し過ぎに注意です。
こめ油
米ぬかから作られる油でオレイン酸とビタミンEを豊富に含みます。
米油の特徴
こめ油の一番の特徴は熱に強いことです。素材が日本産のお米である点も安心です。植物繊維が豊富でコレステロールを下げる働きがあると言われています。
まとめ
トランス脂肪酸の弊害、怖さは今更言うまでもありませんが、あまりに気にしすぎるより揚げ物、炒めものなどにはオリーブオイルか、こめ油、生食、サラダオイルにはエゴマ油かアマニ油くらいの認識でよさそうです。そんなわけで長い記事になってすみません。